アライグマを飼おう

アライグマを飼おうと思ったきっかけは、テレビを観ていたときにアライグマを飼っている芸能人(なんていう人か忘れました)が言った「犬とかわりませんよ」という一言でした。

家にやってくる

そんなある日、新聞にアライグマ入荷というペットショップの宣伝が載っていたので、ソッコーで買いに行きました。1991年の初夏の事でした。ペットショップではじめてみたアライグマはまだ子どもで本当にかわいかったです。オスとメスがいたのですが、昔から犬を飼うときもオスと決めていたので迷いもなくオスを購入しました。同時に粉ミルクとおやつのチーズ、ドッグフードを購入し、ショップにケージも勧められましたが自分で小屋を作るつもりだったので購入しませんでした。

命名「ポン吉」

雑誌のイラストなんかを見るとタヌキとアライグマがごちゃ混ぜになっている場合が多いです。たとえば、タヌキのイラストはしっぽがシマシマになっていることが多いが、実際はアライグマはシマシマになっているけれど、タヌキはなっていない。だからというわけでもないけれど、名前は“ポン太”だといかにもタヌキなので“ポン吉”にしました。(あまりかわりはないようですが・・・)ただどこかの芸能人が言っていた犬と変わらないというのは大嘘で、随分飼い方は違ってきます。

犬との違い

犬との違いその1:登ることが出来る

これは、小屋等を造る上で随分重要になってきます。犬はある程度の囲いがあればそこから出ていく様なことは無いけれど、アライグマは何があっても行きたいところへは乗り越えて行きます。

犬との違いその2:頭が小さい

犬のように首輪をしても抜いてしまいます。

犬との違いその3:体が柔らかい

胴輪をしてもすり抜けてしまいます。

犬との違いその4:手先が器用

いろんなイタズラやりたい放題です。

とういことで、小屋を造ったのですが前述の行きたいところへは何があっても行く習性にあえなく木造の小屋は壊されてしまい、結局ケージを買うはめになりました。ケージの中には段ボールの巣箱を入れてやりました。本能的に狭い空間があった方が落ち着くようです。

手作りポストと表札

ポン吉も家族の一員ということで、手作りポストに表札を付けました。表札の上にはホームセンターで見つけたアライグマのマスコットを置きました。写真のポストは平成15年現在の物で3作目です。

餌について

赤ちゃんの頃は、ドッグフードとパンに粉ミルクをかけ、牛乳に浸して食べていましたが、ある程度大きくなったらドッグフードだけで大丈夫です。好き嫌いは結構あります。特にはじめて口にする物には慎重で匂いを嗅いだり、水につけたりしてなかなか食べません。結局ANFというメーカーのドッグフードが飽きずによく食べるので主食にしています。おやつに犬用のクッキーや、落花生を与えています。食欲のない時でもこれらのおやつは良く食べますが、あくまでおやつ程度に与える様にしています。10歳を過ぎてからはシニア用に代えましたが、特に問題なく切り替えることが出来ました。食欲は春と秋は旺盛ですが、夏と冬はあまり食べなくなります。

排便・排尿

ウンチとオシッコは一度場所を決めたらずっと同じところでします。何かのテレビ番組でアライグマの特集をしていて、トイレの上に木で囲いを作ったらどうなるかという実験をしていました。結果は囲いがあっても壊してトイレに行くという結果でした。

鳴き声

甘えたような声でク〜ンとか鳩のようにクルルルとか鳴きます。たまに興奮しているとグオグオと豚のような声を出すときもあります。

かわいい幼少時代

家に来てから2才くらいまでは家族の後をついて歩きます。周りで何が起ころうが誰が居ようがずっと後をついてきます。ケージに服を入れてやると自分で起用に着ます。特にスカートがお気に入りです。

我が道を行く青年時代

2才くらいを過ぎると散歩をしていても横道にそれていくことがしばしばあります。逃げ足は早くないのですぐに捕まりますが、狭いところ(側溝のふたの下とか、自動車のタイヤハウスなど)に入り込むとさあたいへん、当分出てきません。そんなときは出てくるまで気長に待ちます。

新しい住まいの制作

このころになると体も大きくなり、ケージに閉じこめておくのはちょっと狭くてかわいそうな気がしたので、思い切って新しい檻を作ることにしました。サイズは十分に歩き回れるように幅2m・奥行き4m・高さ2mの広さにしました。中に以前作った小屋を修理して入れ、さらに小屋の中に木で作った30cm×45cm×60cm位の巣箱を入れました。檻はフェンス用の網を知り合いの建築業をしている方に仕入れてもらい、友人達の協力もあり本体は半日で仕上げました。穴を掘って逃げ出した話を聞いたことがあるので、地面はコンクリートを打ちました。費用は、材料費+焼き肉+ビールで約10万円位でした。(焼き肉とビールは友人達の接待用)排水の溝を作ったのですが、なにも教えないのにちゃんとそこでオシッコをするようになりました。(結構かしこい)

脱毛症

今までに大きな脱毛症に2度かかりました。一度目は、隣の空き地に建った家の工事期間中。もう一回は最近ですが、原因は娘の目撃によると近所の子供が棒でポン吉くんをいじめていたらしい。ストレスがあると人間と同じように脱毛症になるようです。

凶暴な冬

アライグマに限らず野生の動物はみんなそうなのかも知れませんが、冬の繁殖期?にやや凶暴になります。ただ、シマリスのように四六時中凶暴と言うわけではありません。ちょっと様子が変だと思ったら近づかないことです。噛まれると確実に出血します。私も妻も噛まれて病院に行ったことがあります。去勢をすれば良くなるという話もありますが、ちょっとかわいそうな気がして去勢はしてありません。春から秋は凶暴さは無くなります。ただこれも個体差があるようです。

落ちついた老年時代

ここ4〜5年は冬になってもあまり凶暴では無くなり一年を通じて温厚な性格になりました。頭や首のあたりをなでてやると気持ちよさそうに座り込みます。アライグマの寿命は約10年くらいだそうです。ポン吉は13歳ですのでもういつ逝ってもおかしくない年齢になりました。(海外では18歳まで生きた実例があるそうですが・・)最近捨てられたアライグマが農産物に被害をおこして問題になっていますが、一度飼った動物は何があろうと最後まで責任を持って世話をするのが義務だと思います。ポン吉があとどのくらい生きるかわかりませんが、精一杯かわいがってあげようと思っています。

13歳のポン吉くん

アライグマは“決まったところでウンチをする”と前述しましたが、最近ところかまわずするようになってきました。ひどいときは自分の小屋の中や、飲み水の中にしてあることも・・・。ちょっと呆けてきたかな??
あと、夕食時に中休みをするようになりました。餌をあげると初めに少し食べてから死んだように寝転がってくつろぎ、しばらくしてから寝転がったまま残りを食べます。どんなに寒い日でも外で寝転がっています。

14歳の旅立ち

その日はとても暑い日でした。胸騒ぎがしたポン吉の母が仕事を抜け出して様子を見に帰ったら、ポン吉くんはいつもと違う場所でぐったりと寝ていました。名前を呼んだら立ち上がろうとしたので、とりあえず水を与えようと家の中に水をくみに行き、スポイドで口を湿らせてあげたらそのまま息を引き取りました。ポン吉くん14才と3ヶ月の夏に日でした。14才という年齢は大往生だと思いますが、昨年の危機を乗り越えたときには、ひょっとしてポン吉くんはいつまでも生き続けるのではないかと思いました。実はポン吉くんが旅だってからちょうど1ヶ月後にお隣のワンちゃんのトットが亡くなりました。とても仲良しだったのでポン吉くんが呼んだのかなと思います。でもポン吉くんと過ごした日々は、とても楽しい思い出がいっぱいで、家族みんながポン吉くんに感謝です。


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